我が国の社会保障施策においてひとつの目途である「2025年」を目前に迎え,課題は既に次の「2040年問題」に移行している。「2040年」は,人口減少と高齢化で行政の運営が最も厳しい人口構成にさしかかることから経産省,財務省,厚労省など各省から既に様々な問題提起がなされているところである。
限られた資源でより効率的な社会保障を実現するためには,これまでの制度仕組みにとらわれず,よりフレキシブルな対応が求められることとなる。国がこれからの社会保障の社会保障改革の骨格として掲げている「地域共生社会の実現」の概念も,「縦割り」から「丸ごと」への転換を基礎としており,「地域丸ごとのつながりの強化」で対応することを求めている。こうした政策の全体像を考えると,平成28年に施行された社会福祉法の改正による社会福祉法人改革も,「地域における社会福祉法人の役割の発揮」を期待したものと捉えることもできる。
本年度は,社会福祉法人が地域においてより力を発揮できるよう、全ての会員法人においてガバナンスを確立し,他の事業主体では対応できない福祉ニーズにも応え,地域社会に貢献する姿勢が求められる。そのため自法人だけでなく,市町社協等地域の多様な社会資源と連携しつつ,多様化・複雑化する地域課題の解決に取り組んでいかなければならない。
こうした取り組みの障壁となっているのが,福祉介護人材の不足である。外国人労働者や高齢従事者など多様な支え手に対する取り組みが制度化されつつあるが,それぞれの法人においては,職員が生き生きと誇りをもって働けるように,処遇改善等労働環境の整備に取り組み,魅力ある福祉・介護の職場づくりを進める責務がある。
本会は,これらの課題に対する県民からの信頼と負託に応えるために,社会福祉法第24条第1項の原則に立ち返り,「社会福祉事業の主たる担い手としてふさわしい事業を確実,効果的かつ適正に行うため」に「福祉サービスの質の向上及び事業経営の透明性の確保を図る」ことに取り組む会員法人を支援する。
また,当会がさまざまな分野の福祉サービス事業者の総意を汲んだ組織となるために,各種別団体等及び行政と災害時等においても有機的な連携を図り,社会福祉法人が地域の安心・安全を守る存在となることを希求する。